目 次

ユートピア概論
  ユートピアとは
  伝説のユートピア
  創造されるユートピア
  実現されるユートピア

ユートピア伝説の探求
 1.古代アマゾン文明
 2.古代アトランティス大陸
 3.レーリッヒのシャンバラ探求
 
4.ナチスと地底王国アガルタ
 5.ギリシャの理想郷アルカディア
 6.理想的世界の霊界

創造されるユートピア
 1.トルストイの「イワン王国」
 2.宮沢賢治のイーハトーブ
 3.宮崎駿のユートピア文学
 4.国宝美術作品の理想郷図
 5.ジャック・フレスコの未来都市

ユートピア実現の試み事例
 1.ピューリタンの民主主義社会
 2.クエーカーたちの理想都市
 3.シェーカーズ教徒村
 4.イエズス会のミッション
 5.ユートピア社会主義者の夢
 6.オーウェンの協同組合
 7.フリエの生産・消費協同社会
 8.ロシアの農民ユートピア国
 9.ガンジーのインド独立国家
 10.武者小路実篤の「新しき村」
 11.毛沢東の「人民公社」
 12.伊藤勇雄の人類文化学園
 13.農大生たちの「杉野農場」
 14.ブラジルの弓場農場
 15.シュタイナー「ひびきの村」
 16.ヤマギシ会「ヤマギシの村」
 17.脱日本運動の「ノアの方舟」
 18.パラグアイのメノニータ社会
 19.モルモンの理想郷ユタ
 20.アドベンチストの学園村
 21.イスラエルのキブツ
 22.エホバの証人の地上天国
 23.デンマークの共同体
 24.ヒッピーの生活共同体
 25.マレーシアのイスラム村
 26.ドイツの学生生活共同体
 27.南米の理想郷「インカ都市」
 28.万国の架け橋「琉球王国」
 29.理想的未来都市ブラジリア
 30.ユートピア的首都計画 
 31.アラブ人の理想都市ドバイ
 32.宇宙空間のユートピア計画
 33.ユートピア的企業例:トヨタ
 34.ユートピア的企業精神:松下
 35.ユートピアを模索する産業
 36.ユートヒ゜ア商売のリゾート産業
 37.フィンドホーン共同体
 38.光の都市ダマヌール
 39.生産勤労共同体:共働学舎
 40.共生共存企業:わっぱの会
 41.無所有奉仕共同体:一燈園
 42.小さな共同社会:癒しの郷
 43.宗教的社会福祉企業大倭教
 44.いのちの村プロジェクト
 45.理想的社会造りのNPO

ユートピアの条件:自給自足

 1.自給自足の生活と概念
 2.自然農法、有機、無農薬他
 3.自給自足を目指した試み
 4.本サイトの結論


作者の他のサイト

ラテンアメリカはいかがですか
ブラジル  パナマ
国際サバイバル道場


2003年2月25日より









関連サイト
1.アトランティス大陸
2.謎の大陸「アトランティス大陸」について 3.フリー百科事典ウィキペディア「アトランティス」


理想的世界の霊界 (2)

スピリチュアリズムブック「500に及ぶあの世からの現地報告」より


From Nosso Lar, Chico Xavier




あなた方はまだ霊の世界の本当の素晴らしさを知りません。肉体の牢獄から解放され、痛みも苦しみもない、行きたいと思えばどこへでも一瞬の間に行ける、考えたことがすぐに形をもって眼前に現れる、追求したいことにいくらでも専念できる、お金の心配がない・・・こうした世界は地上には譬えるものがないのです。
その楽しさは、あなた方はまだ一度も味わったことがありません。

肉体に閉じ込められた者には、美しさの本当の姿を見ることができません。霊の世界の光り、色彩、景色、樹木、小鳥、小川、渓流、山、花、こうしたものがどれほど美しいか、あなた方はご存知ない。それでいてなお、死を恐れます。

人 間にとって死は恐怖の最たるもののようです。が実は、人間は死んで始めて生きることになるのです。あなた方は自分では立派に生きているつもりでしょうが、 実際にはほとんど死んでいるのも同然です。霊的なものに対しては死人のごとく反応を示しません。小さな生命の灯火が粗末な肉体の中でチラチラと輝いてはい ますが、霊的なことには一向に反応を示しません。
ただ、徐々にではあっても成長はしています。私たちの働きかけによって、霊的な勢力が物質界に増えつつあります。霊的な光りが広まれば、当然暗闇が後退していきます。

1.戦争で死んだある兵士の話

1960年11月4日、ロンドンのあるアパートの薄暗い一室で、二人の男性と一人の女性が座って何かを待っていた(ウッズとフリント、グリーン女史であ る)。彼らは、ここ五年間、月曜日の午前中、いつもこうした集まり(交霊会)を持ってきた。彼らは、地上の誰もがまだ行ったことのない、しかし、すべての 人が例外なく将来赴くことになる、死後の世界からの“メッセージ”を待っていたのである。

交霊会の沈黙は、ロンドン訛りのあるしわがれ声によって突然破られた。テープレコーダーのスイッチが入れられた。その声は46年前、第一次世界大戦中に死んだ兵士からのものだった。彼はフランダース戦場の塹壕(ざんごう)内における苦しい体験を語り始めた。

「私はごく普通の人間にすぎませんから、私が今から話すことは、多くの人々にとってあまり役に立たないかもしれません」
「あなたのお名前は?」とグリーン女史が尋ねた。
「私はたいした人間ではありません。私の名前はプリチェット、……アルフ・プリチェットと言います」

戦場での死
(プリチェットと名乗る霊は語り始めた)
そ れは1917年〜1918年にかけてのことだったと思います。何しろかなり昔のことですから、正確にいつのことだったか、あまり自信がありません。私たち は終日、激しい敵軍の砲撃にさらされていました。そのとき私は、「もしこんな中で死なずにすむなら、本当に運がいい」と思いました。次の日、朝早く、私た ちに塹壕から突撃する命令が下りました。
その後、私はたしかに塹壕から飛び出して敵軍に突撃したことを覚えています。(*プリチェット本人は自覚していないが、この直後、彼は戦死したのである――訳者) 私 はどんどん前方に走って行きました。そのとき数人のドイツ兵が、私の方に向かってきました。ところが彼らは、私の所をまっすぐ素通りして行ってしまったの です。まるで私が見えなかったかのようでした。彼らは私を攻撃するでもなく、私に関心を示すでもなく、私の所を勢いよく通り過ぎて行ってしまいました。
私 は「はてな、これはいったいどうしたことだ?」と思いました。私はそのまま前進しました。どんどん走って行ったことを覚えています。「もし彼らが私に気が つかないなら、私は何も彼らのことを心配する必要はない。どこか小さな穴に飛び込もう。そしてしばらくしてからそこを出て行こう」と思いました。私はその とき、心の中で願っていたような爆弾でできた穴を見つけ飛び込みました。そしてその中にうずくまり、「この恐ろしい状況が通り過ぎるのを待とう。一番いい のは捕虜になることだ」などと考えていました。
「彼らが私に気づかなかったなんて不思議なことだ。本当は私に気づいていたに違いない。しかし彼らは、まっすぐ通り過ぎて行ってしまった。なぜだろう?」
――私はいろいろ考えましたが、どうしても理解できませんでした。

死んだはずの友人との出会い
そ れからどのくらい、そこにいたのか分かりません。とにかく私は眠ってしまいました。次に、目の前にまぶしいほどの明るい光を見たことを覚えています。私に は何が何だか分かりませんでした。それは今まで私が一度も見たことのないような光で、辺り一面を同時に照らしていました。その光はあまりにもまばゆく、私 はしばらく目を閉じていなければなりませんでした。
「これは何かの発光装置だ」と思い、少々怖くなりました。
すると突然、それが形をとり始め、やがて光明満ちあふれる人間の姿になっていきました。私は本当にびっくりしました。それは私のよく知っている友人の「スマート・ビリー」でした。その彼が今、私の目の前にいて私を見つめているのです。
し ばらくして私は、自分が起き上がっているような感じがしました。奇妙なことに、本当に自分自身が起き上がっていることに気がつきました。私は、それまで終 日ここで横たわっていたに違いないと思いました。堅さとか不快感・不便さを感じて当然なのに、そのときはそうした感じが全くありませんでした。それどころ か、鳥の羽毛のような軽やかさを感じました。
私は「何かが私の頭を混乱させている。たぶん私は頭がおかしくなってしまったのだ!」と思いました。

私は磁石のように彼の方に引き寄せられました。彼が生命力に満ちあふれているのが分かりました。彼の顔は素晴らしい色彩に輝いていました。彼に近づいたと き、「そういえば彼は死んでいたんだ」ということを思い出しました。最初に彼を見たとき、彼がすでに数カ月前に死んでいたことに気がつくべきでした。しか しそのときは、彼が死んだ人間だとは思えませんでした。
私は彼の方に引き寄せられました。彼は私に笑いかけました。そして私も 彼に笑い返しただろうと思います。彼は私に手を差し伸べました。当然、彼と握手をするのだということは分かりましたが、少々馬鹿げた感じがしました。何し ろ戦場にいる私が、すでに死んでいる人間と握手をするのですから……。冷や汗が吹き出すようでした。
「いったい何が起きたのか? 自分は夢を見ているに違いない」しかし確かに私は、彼が話す言葉を聞いています。そのうち彼が「大丈夫、何も心配いりません」と言いました。「これは全く馬鹿げたことだ。何かが間違っている」――とにかく私は彼の手を握りました。すると突然、体が宙に浮かぶような感じがしました。今、自分がどこにいるのか分からないのに、彼の手を握ったまま空中に持ち上げられました。私は何年か前に見たピーターパンの映画を思い出しました。「これは実に面白い夢だ!」
私の足は地面から離れました。それは空中に浮かんでいた、としか表現のしようがありません。徐々に高く上がって行くにつれ、まわりのすべてのものが遠のいて 行きました。はるか下の方に戦場が見えました。銃や爆発の閃光も見えました。明らかに戦争はまだ続いています。「これは本当に特別な夢だ!」



すばらしい夢のような世界
次に大きな町のような所へ近づいて行ったことを覚えています。そこは光り輝いていました。そのときの情景は、私にはこのようにしか表現できません。そこの建 物はまわりに光を放っていました。そのうち突然、足が地面に着いたような感じがしました。不思議なことに、地面は堅く感じました。それから長い並木道のよ うな所を歩いたことを覚えています。その道の両側には美しい木々が立ち並び、その木と木の間には彫像のようなものが置かれていました。
そ して歩道を、見慣れない衣服を着た人々が行き来していました。彼らはよく絵画などで見るローマやギリシア時代の人々のようでした。柱のある美しい建物があ り、そこに続くみごとな階段が見えました。大部分の家々の屋根は平らでした。これまでイギリスでこんな平らな屋根の建物は見たことがありません。この建物 は大陸様式だろうと思いました。それらの建物からは光が放たれ、そこにはいろいろな国の人々がいました。ビリーが、
「もちろん君は自分の身に起きたことが分かっていますね」と言いました。
「私の身に起きたこと? 今、私が知っていることは、ここは楽しい所だということだけです。素晴らしい夢を見ているということだけです。目が覚めて元に戻るのは残念です」 「心配には及びません。目が覚めることはありません」
「それはどういう意味ですか。目が覚めないとは?」
「あなたは死んだのです」と彼は言いました。
「バ カなことを言わないでください。どうしてこの私が死んでいるのですか。私はここにいるじゃないですか。私にはまわりのものが全部見えています。……しかし 私はあなたが数カ月前に死んだことも覚えています。私には何がなんだか分かりません。私はきっと夢を見ているのです」
「いいえ、あなたは夢を見ているのではありません。本当にあなたは死んだのです」 「まさか! どうして私が死んでいるのですか。ここに私がいないとでも言うのですか」 「あなたは、たしかにここにいます。しかしあなたは本当に死んだのです」
「じゃあ、ここは天国ではないということですね」
「正確には天国ではありません。しかし天国の一部です」
私は心の中で“天国の一部”とはどういう意味なのだろうか? と考えました。

あの世の病院

私たちはこの美しい町の中の道を進んで行きました。そして丘のような所に出ました。右前方に美しい建物が見えました。それはちょうどロンドンで見かけたような建物でした。ただロンドンのものより、ずっと白くて美しいです。
「あの建物は何ですか?」と彼に聞きました。
「今からそこへ昔の友だちに会いに行くのです。われわれはそこを“レセプションセンター”と呼んでいます」
「何ですか。それは?」
「病院のような所です」と彼は答えました。
「私は病院なんかに行きたくありません。どこも悪くありません。健康です。私は病院には行きません」と言いました。
「心配しないでください。そんなに興奮しないで。そのうち分かるようになりますから、今はリラックスして楽しい気分でいてください」
そ れから私たちはこの建物の中に入って行きました。おかしなことに、そこにいた人たちは、これまで私が見慣れている人たちと、ほとんど同じような服装をして いました。私はそこで太陽を見た覚えはありませんが、常に光が満ちあふれていました。人々が座って話をしていました。テーブルとイスはありましたが、ベッ ドはありません。これは変わった病院だと思いました。人々はみんな明るく元気そのものに見えました。ある者は話をし、ある者は食事をしていました。私はそ の光景が目にとまりました。
そこで彼に、「見てください。向こうで食事をしている人がいます」と言うと、「ここは、自分がしたいと思うことが何もかも実現する世界なのです。もし、あなたが食べたり飲んだりしたいと思うなら、それがそのまま実現するのです」
私は他の人たちと一緒にイスに座りました。
「ここへきたばかりなの?」と彼らは言いました。
「ええ」
「あなたがここへくることは聞いていましたよ」と一人が言いました。
「それはどういう意味ですか。私がくることを聞いていたというのは? あなたは私を知らないはずですが……」
「あなたは、私たちが見張り人を置いているように思われるかもしれませんが、そうではありません。私たちを助け導いてくれるここの人々から、あなたのことを聞いたのです。私もここにきて本当に間もないのです」
「もうここの生活に落ち着きましたか?」と聞いてみました。
「とてもよい所です。地上でこれまで聞かされてきた所より、ずっと素晴らしいです。これまで言われてきたような世界は本当はありません」
「それはどういう意味ですか?」
「こ れまで私たちは、天国とか地獄とか、終末を告げる天使のラッパの話を聞かされてきました。しかし、それらはすべて間違いです。教会の教えに忠実な人間は天 国に行き、教会の教えに背く者は地獄に行く、という考え方はすべてデタラメです。ここは、地上時代そのままの世界なのです。ただあらゆるものが地上時代よ り、ずっとよくなっています。ここは本当に素晴らしい所なのです。明日、私はここを出て行きます」(*キリスト教では「人間は死後、天国か地獄のいずれかに行くようになる」と考えられている――訳者)
「どうしてですか? どこへ行くのですか?」
「祖父と祖母に会いに行きます」とその人は答えました。
も ちろん私は彼の言うことをすべて信じることはできませんでした。しかし私は、他の人たちと一緒にここにいて話をしている方がいいと思いました。彼らが言う ように、私はこれからここにいなければならないのなら、とにかく彼らと仲良くしておく方がいいと思いました。私は彼に、
「あなたのおじいさんとおばあさんはどこにいるのですか?」と聞いてみました。
すると彼は答えました。
「祖父も祖母も私たちと同じこの世界にいると、聞かされました。ただしずっと離れた所にいるそうです。私は明日そこへ連れて行ってもらうのです」
「誰が連れて行ってくれるのですか?」
「私の指導霊(ガイド)です」
「指導霊ですって?」
「そ うです。ここにはそうした素晴らしい方々がたくさんいらっしゃるのです。地上で言うスチュワードのような仕事をしていらっしゃるのです。私のガイドは、私 のこれまでの経歴や地上時代の知人について何もかも知っています。その上で私を指導してくださるのです。あなたはこちらの世界にきたとき、何かおかしいと 気がつきませんでしたか? 体が軽くなったと感じませんでしたか? 空中に浮かび上がるような感じがしませんでしたか?」
「たしかに少し変だと思いました」
「実はそれがここでの移動の仕方なのです。ここでは歩く必要はありません。空を飛ぶような状態で移動ができるのです」
「他にどんなことができますか? あなたはご自分のことを“死んだ人間”だと言いました。人が死んだとき一番大切なことは、言われた指示に従ってその通りにすることだと思いますが……。結局は、自分は誰から裁きを受けるようになるのか分からないのですから」(*この兵士は地上時代の教会の教えによって、誰もが死後「最後の審判」を受けるようになると信じている――訳者)
「い いえ、誰もあなたを裁いたりはしません。私が理解したところでは、人間は自分で自分を裁くようになるのです。他人から裁かれるのではありません。私はここ にきて以来、ずっと地上時代のことを振り返ってきました。昔の過ぎ去ったことに立ち戻り、いろいろ考えてきました。唯一はっきり言えることは、自分で自分 自身を判断し裁くようになる、ということです。誰もが間違いなく持っている良心によって、地上時代の自分自身を判断するようになるのです」と彼は言いまし た。
「私が覚えている限りでは、私がしでかしたたった一つの悪いことは、ネコを溺れ死にさせたことです。そうそう、それとビー ルをただ飲みしたことです。そのとき店が混んでいて店員が私のことを忘れていたので、私も黙っていました。しかし、そのことはそんなに悪いことだとは思い ませんが……」と私は言い訳をしました。
「大丈夫です。心配いりません」と彼は言いました。
「ところで私は地上に戻って知り合いに会いたいのです。彼らがどのように暮らしているか見てみたいのです。彼らは私が死んだことを、もう知っているのでしょうか?」
「も しあなたが地上に戻ってみたいというのであれば、手筈が整えられると思います。ここの世界の担当者が、おそらくそのための準備をしてくれるでしょう。しか し言っておきますが、そのことはあなたを惨めな思いにさせるだけです。彼らはあなたのことに全く気がつきません。あなたが奥さんのいる家に戻ってドアを叩 いても、あなたには気がつかないでしょう。昔の友人を訪ねて激しくドアを叩いても同じです」

幼くして死んだ姉との出会い

い よいよ地上に行くというとき、私をここまで連れてきてくれた友人(ビリー)が再びやってきました。ビリーは「あなたに見せたいものがあります」と言いまし た。私は彼について通りを下って行きました。小さなバルコニーと美しい花のあるとても素晴らしい家の前を通り過ぎ、やがて通りの終わりまできました。そこ には大きな広場があって、中央の噴水は水しぶきを上げ、辺りにはリズミカルで心地よい音楽が流れていました。「これは本当に素晴らしい!」――私は昔、公園でバンドの奏でる音楽を聴いていたことを思い出しました。
私たちは美しい木の下の小さなベンチに座りました。ビリーは、「とてもくつろいだ気分になるでしょう。ただそこに座っていてください。しばらく私はここを離れますが、すぐ戻ってきます」と言いました。
私 は目を閉じ、音楽を聴いていました。すると突然、誰かが私の隣にいるような気がしました。目を開けて見ると美しい女性がいました。輝くような金髪で、十九 か二十歳ぐらいに見えました。私はびっくりしました。さらに驚いたことに、彼女は私の名前を呼んだのです。「これはおかしなことだ。彼女は私の名前を知っ ている。自分は彼女を知らないのに」と思いました。
「ここが気に入りましたか?」と彼女が尋ねたので
「とても気に入っています。ありがとう。お嬢さん」と答えました。すると彼女は、 「私をお嬢さんなどと呼ばないでください。私を知りませんか?」と言いました。
「ええ、私はあなたを知りませんが……」
「私はリリーですよ」
「リリーさん? どちらのリリーさんか存じませんが」
「驚かないでください。私はあなたの姉です。私は小さいときに死んだのです」
「そういえば、母から生後わずか数日で死んだ姉がいたということを聞いたことがあります。しかしあなたがどうしてその女の子なんですか? あなたは大人じゃないですか」 「そのとおりです。しかし私は本当にあなたの姉なのです。私は幼くして死にましたが、それからこちらの世界にきて成長したのです」
「驚きました!」と私は言いました。
「私は、ここであなたのお世話をすることになっています。あなたを家にご案内します」 「家ですって!」と私は言いました。
「はい、家です」
彼 女は私を広場の外へ連れ出しました。そして木々の立ち並ぶ広い道を下って行きました。やがて田舎の小さな家に到着しました。そこが姉の家でした。姉の家 は、イギリスの田舎で見たことがある家にとても似ていました。その家の庭には門や通路・扉があって、たくさんの美しい花が咲いていました。そこで彼女は立 ち止まりました。それから家の中に入りました。廊下の向こうに小さな部屋があって、部屋の中のすべてのものは心地よく、安らぎを与えてくれました。素敵な イスもありました。しかし暖炉はありませんでした。
「ここには暖炉がありませんね」と言うと、
「ええ、ここでは暖炉は必要ないのです。いつも暖かく快適なのです」と彼女は答えました。
「それは素晴らしいですね。それでは雨も降らないんですね」
「ええ、降りません。でも時々、露が降りることがあります」
私 たちはそこに座って、まだ地上にいる父や母のこと、兄弟のことを話しました。彼女は彼らに会うためによく地上を訪れたことや、私がまだ幼いときから私に会 うために、たびたび地上に行っていたことを語ってくれました。彼女はまた、私が戦争に出かけている間、私のそばにずっと付き添っていたことも教えてくれま した。
ただし私が死んだ直後は、私に付き添うことはできなかったようです。私がこちらの世界にやってきて、私に準備が整い、こうしてまた会えるようになったと教えてくれました。 「本当にここは素晴らしい所だ! でもまだよく分からない、不思議な所だ」と思いました。今、私はこちらの生活に落ち着き、姉と一緒に住んでいます。
「これ以上は、また別のときにお話しする方がいいようです。そろそろおいとまする時間がきました。行かなければなりません。さようなら……」
プリチェットと名乗る霊の声は徐々に小さくなり、やがて聞こえなくなった。

死んだ兵士の身元

その声はいったいどこからきたものなのであろうか? その声は本当に第一次世界大戦で死亡した兵士のものなのであろうか?――幸い戦争で死んで埋葬されたすべてのイギリス兵士の記録が残されている。それはバークシャイアーのマイデンヘッドにある戦死兵慰霊委員会によって保存されている。
「プ リチェット」という名前は珍しい名前である。戦死者名簿のファイルの中には四名のプリチェットの名前がある。その内の一人の兵士番号は9023Aで、彼は 機関銃部隊に所属していて1917年に戦死している。そしてイェプレスから一マイルの所にあるポティジェ・チャテウ・ローンの共同墓地に埋葬されていた。

この兵士が、あの世の体験を語った声の持ち主なのであろうか? 彼の身元証明には、さらにもう一つの手がかりがある。彼の古くからの友人で、あの世で彼の指 導霊であった人物の名前である。プリチェットはその名前を「ビリー・スマート」と言っている。プリチェットによれば、ビリーは彼より数カ月前に戦死してい る。スマートという名前はイギリス陸軍の中ではありふれた名前で、何百というスマートが第一次世界大戦で戦死している。そしてその中には、何十人という 「ウィリアム」というクリスチャンネームを持った兵士が含まれている。その中で一人――たった一人だけがプリチェットによって語られた兵士と一致するのである。
兵士番号20394のビリー・ウィリアム・スマートが、その人物である。彼もまた機関銃部隊に属していた。そして1916年、アラスの近くで戦死しているのである。
プリチェットの話は、ワーシングにいるジョージ・ウッズとベッティー・グリーン女史、そして直接談話霊媒者のレスリー・フリントによって録音された、500に 及ぶテープの中の一つである。「私たちが死んだとき何が起きるのか」を語っている、500本ものテープの中の一つなのである。


2.ジョージ・ウッズの疑問・・・人は死んだらどうなるのか?



ジョージ・ウッズの疑問
アルフ・プリチェットが死ぬ三年前――1914年八月の上旬、「ジョージ・ウッズ」はノーサンプトンシャイアーの騎馬義勇兵として、イギリス遠征隊とともにフランスに向けて出発した。若干、二十歳であった。彼は神経質で反骨精神に富んだ性格の持ち主であった。
彼の父親は典型的な地方地主で、昔、落馬の際にももを押し潰されびっこをひいていた。しかし、その後もずっと猟には出かけていた。彼は毎朝、妻や子供、召し使いのための祈りを欠かすことはなかった。

若きウッズは、人間の死であれ動物の死であれ“死”を恐れていたが、それを隠して生きてきた。そして父の希望もあって軍隊に入ったのである。

彼 は歴史書で「モンスからの退却」と呼ばれている、血なまぐさい激戦地で戦っていた。圧倒的多数のカイザーの軍隊(ドイツ軍)の前に、多くのイギリス兵が戦 死した。一回目のイェプレスの戦闘の終わり頃には、初め千人も配属されていた兵士は、わずか一人の将校とたった三十人の兵士になっていた。それは彼にとって決して忘れることのできない体験だった。

そのときのある出来事が、彼のその後の人生にずっと影響を与えることになったのである。致命傷を負った仲間の兵士が、彼の手を強く握りしめて言った。「死後の世界はあるのだろうか? 死んだらいったい、自分に何が起きるのだろうか?」――彼は自信を持って答えることができなかった。そしてその兵士は死んだ。

ウッズは同じ質問を従軍牧師にしてみた。
「戦争で死んだ兵士は、その後どうなるのでしょうか?」
「聖書を信じなければなりません」と牧師は答えた。
「死後の世界を証明するために、この地上に戻ってきた人はいないのですか?」
「誰もいません。イエス・キリスト以外には」
ウッ ズは運がよかった。1915年、彼は頭を負傷し目が見えなくなったが、六カ月後、病院で右目の視力を取り戻した。しかし左目は二度と見えるようにはならな かった。彼は1916年に退役して、父親の新しい仕事(ハードウィッケの四百エーカーの農場の仕事)の手伝いをすることになった。
し かし戦場で兵士が死の間際に言った、「人間は死ぬとどうなるのだろうか? いったい何が起きるのだろうか?」という質問の答えを知りたいという願望は、も はや後に引くことができないほど強いものになっていた。そのため二十代、三十代の大半を、ありとあらゆるキリスト教会に足を運ぶことに費やした。だが彼に 満足な答えを与えてくれた教会はなかった。
三十代も終わりに近づいた頃、父親が死んで農場経営は苦しくなった。そこで彼はクロイドン(ロンドン南部郊外)に、妻や息子とともに移り住んだ。息子の名前はニジェルといい、少し前に髄膜炎を患っていたが、このときは快方に向かっていた。
クロイドンに移って間もなく、彼が現代風の赤レンガの建物の近くを歩いているとき、一つの掲示板に目がとまった。それには、「ここにきて死者の話を聞きませんか」と書かれていた。
次 の日曜日、彼はワクワクするような思いで、こっそりとその会合に出てみた。そしてドアの近くの目立たない場所に座った。彼は生まれて初めて“スピリチュア リスト”の集まりに参加したのである。その集まりでは透視能力(千里眼)のデモンストレーションが行われたが、彼には特別印象深いものとは感じられなかっ た。それでこっそりとその場を抜け出そうとした。

そのとき会を進めていた女性が、「後ろにいらっしゃる男性の方に申し上げたいことがあります」と言った。彼女が自分のことを指していることが分かり、ウッズは当惑してしまった。
「あなたのお父さんが、ここにきていらっしゃいます」と彼女は語り始めた。

「彼は、自分の名前は『ウィリアム・ウッズ』といい、地上にいたとき事故に遭ってびっこになった、とおっしゃっています。そして息子のジョージ――あ なたと話がしたい、とおっしゃっています。彼は、自分は地上時代にはハードウィッケという所に住んでいた、とおっしゃっています。彼は今、あなたの息子さ んのニジェルのことをたいへん心配していらっしゃいます。そしてニジェルはベッドで寝ていなければ、また病気がぶり返すかもしれない、とおっしゃっています」

ウッズはびっくりして立ちすくんだ。「これはトリックなのか? 一度も会ったことのない女性が、どうしてこんなことを言えるのだろうか? 自分の長年の疑問に答えるために、父が死の世界から戻ってきたとでもいうのだろうか?」――彼の心は混乱した。家に帰ってからも、しばらく他のことを考えることができなかった。彼は自分の人生で初めて手ごたえのあるものに出会ったのである。

ウッズのライフワークの始まり
彼は心霊研究協会に入会した。そこで彼は、その後の彼の心霊研究に大きな影響を与えることになる一人の人物と出会うのである。「ドレイトン・トーマス」はメソジスト教会の牧師であったが、一般の教会員が眉をひそめるような変わったグループにも属していた。 そ のグループのメンバーは、これまでのキリスト教の頼りない教えに飽き足らず、それに取って代わるような思い切ったことを何かしようという、共通の情熱で結 ばれていた。そのとき彼らはまだ確たるものを持っていたわけではないが、グループのメンバーの大部分はスピリチュアリストであった。

彼らはまず、1900年前のキリスト復活の話が影響力を失いつつある状況の中で、20世紀に死んだあの世の人々からの通信によってキリスト教の影響力を取り 戻そう、と考えていた。しかしこれは当時としては性急すぎた。今日では、サイキックやスピリチュアルに関心を持つ教会員は多くなり、英国国教会が後ろ盾に なったり、メソジスト教会の指導のもとで交霊会を持つに至っている。

しかし1945年の時点では、大主教「ラング」は、彼自身が主催したスピリチュアリズムに関する委員会の報告レポートを、自ら握り潰しているのである。当時はまだ、死者からのメッセージは“悪魔の仕業”と考えられていたのである。
ド レイトン・トーマスはウッズに、イギリスの著名な直接談話霊媒者を紹介した。霊媒者「レスリー・フリント」は、不思議な能力・特殊な才能を持つ人物と言わ れていた。死んで別の世界に行った人間の霊を引き寄せる能力を持ち、また“エクトプラズム”と呼ばれる特殊な物質で、彼ら死者たちに、地上の言葉を話すた めの発声装置を提供することができたのである。

エクトプラズムは霊媒者本人と交霊会の参加者の 身体から流れ出し、発声器官の“レプリカ”(模擬声帯)をつくり出すのである。この発声装置は、霊媒の頭上、約三フィートの位置に形成される。これを通し て“スピリット”(死者の霊)は、自分の考えを述べることができるのである。だが、この発声器官が形成されるプロセスは、現在のいかなる科学者でも説明不可能である。

ウッズは交霊会に通い続けた。そこで先祖と名乗る多くの死者の声が彼に語りかけた。彼らの声のトーンと語った 内容から、ウッズはそれらが本物だと確信した。彼の長年の疑問に回答が与えられた。彼の人生の目的は達せられたかのように思われた。しかし、それは彼の “ライフワーク”のまさしく始まりだったのである。



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