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パナマ人の喜怒哀楽
LA VIDA DE LOS PANAMEÑOS

これは作者の個人的考察と見解で書かれたものです。


1. パナマ人の楽しみ:

    (1) フィエスタ(お祭り)

     よくパナマ人が自慢するものは「フィエスタ」です。 パナマ人によると、パナマでは1年に365もの市町村レベルの祭りがあり、1年中どこかでフィエスタがあるので退屈しないということです。 しかし外国人からみればパナマのフィエスタは質素で大人しく、特に南米のフィエスタやリオのカーニバルなどを見てきた人にはちょっと物足りないかもしれません。  パナマ人は確かにお祭りの好きな人間ですが、だれもがお客となって楽しみたがり、だれも裏方にはなりたがらないのでしょうか。手配や準備がお粗末なところが見受けられます。 

     また、ここパナマではビールがコカコーラと変わらない値段で売っていて、箱単位で買ってきては、路上でアミーゴたちに気前よく振る舞いながら、サルサやティピカやクンビアなどのリズムに合せてみんなで踊りまくれば、殺風景な町並みもムンムンした活気あるおらが町のお祭りに変身します。 ごみごみした道路も水をかけられてずぶ濡れになったことも気にならずみんなハッピーで「こりゃー楽しいわい」となるのです。 パナマ人のフィエスタ騒ぎはいたってシンプルですがなかなか味があります。 パナマ人を知るためにはLas Tablasあたりのカーニバルに行って濡れてみることです。 「なるほど」という体験をされるでしょうが、パナマ人のように仕事を休んであちこちのフィエスタ巡りをやるような中毒状態になっても私は責任を持ちませんのであしからず。 


    (2) フォルクローレ (伝統音楽と踊り):"TIPICO"

    パナマが誇るフォルクローレ音楽と踊りは"TIPICO"と呼ばれるが、これはコロンビアの「クンビア」とよばれるスタイルの音楽からパナマで独自に発達したもので、活発な動きをみせるサルサやメレンゲとは対象的で、腰をくいくい動かして足もちょこちょこと動かす非常に可愛い踊り方です。 服装は、男はちょっと長袖のしろいポロシャツにふつうのズボンと革のサンダルといった質素な服装ですが、女の伝統的衣装である「ポジェーラ」はちょっとこだわりのあるものです。
    <Tipico Panama.com -パナマの伝統音楽ティピコについてのサイト>


    (3)酒と御馳走

     一般にはお祭りではお酒と御馳走が出てくるものです。 パナマではビールの消費が多いようで、スーパーマーケットで見かけるビールの種類も豊富で、値段も国産品から輸入品まで1缶35セントからあり(日本円で40-50円)、田舎のビアホールに入るとつまみもなにもなく、音楽だけがガンガンなっているサービスの中で大瓶1本75セントのビールをめいめいに抱えて黙々と飲んでいる場面に出会すことがあります。 また"Seco"とよばれる焼酎のような強いお酒がありこれをミルク割りでのむ"con leche"がポピュラーです。 パナマ人にはなにも食べないでビールやセコをちびちびのんで踊りまくるのが好きな人間が多く、パーティーにいっても料理はいたって質素なものですが、陽気な雰囲気を楽しむ傾向があります。

    (4) 野球

     南米と言えばサッカーですが、中米はアメリカの影響が強いせいでしょうかサッカーより野球が盛んです。 野球はバット、グローブやベースなどでサッカーよりはお金がかかるので貧乏な国ではできないスポーツだと思っていました。 しかしパナマでは田舎にいってもだれでも遊ぶスポーツは野球で、週末にはどこの町村でもちゃんとユニフォームを着て遊んでいるのが見られます。そして先進国のまねごとレベルではありません。 なぜならアメリカの大リーグには今まで累計41人ものパナマ人選手が活躍しており、現在でも10人のパナマ人選手がいるからです。





2. パナマ人の誇り:   
    (1) パナマ運河
     パナマの独立も運河のお陰なら、現在のパナマ経済も運河に関連した産業であり、この運河こそがパナマ人が誇りとし、そして憧れの職場No.1としているものです。

    (2) 国民的英雄、故トリホス将軍 (アメリカから運河返還の交渉を成功させた軍人指導者)

     パナマでは独立と共に、運河建設を条件に国内に広範囲なアメリカ領土との共存を余儀無くされてきた経緯があり、アメリカ式の優雅な生活を目と鼻の先で見せつけられてきた関係からパナマ人の悲願とも言えるアメリカン・ドリームがあります。 そうしたことからアメリカ人の技術的誇りでもあったパナマ運河の奪回、そして運河がもたらしていた大きな経済基盤の権限を獲得することは独立以降から歴代大統領たちの最大の課題でしたがこれを実現させたトリホス将軍の功績は大きく、パナマ人にとっては理想的な英雄となっています。 トリホスは、酒(ジョニ黒に目がない)、葉巻(カストロから定期的に贈呈される)、そして女と、生活が常に死に直結していた軍人に多くあるような趣味を愛していましたが、一方では文学と音楽が好きで、著名なコロンビア人作家ガルシア・マルケスと交遊があったし、英国人作家のグラハム・グリーンをヨーロッパからパナマに招待したり、アルゼンチンの反政府歌手メルセデス・ソッサやその仲間たちをパナマに招待し、海辺の別荘に長期間にわたって滞在させ全国コンサートツアーを主催したりしました。

     オマル・トリホス(Torrijosは正しくは「トルリッホス」と発音する)は裕福な資産家の出身で、軍人として才能を現しクーデターによって政権を手に入れましたが、彼の政治理想は社会民主主義の樹立にありました。 彼はチトーを尊敬し、カストロと友情を分かち合うことを誇りにしていましたが、決して共産主義に偏向することはありませんでした。 また、<右翼独裁主義>はもっと強く否定して、左でも右でもない中道主義社会民主主義を中央アメリカに打ち立てようというのが、トリホスの悲願であり夢でした。 米国に敵対する意志は毛頭ありませんでした。 しかし、米政府の不当な干渉には断固拒否する意志を示していました。 運河をめぐる交渉にいて、米国があまり強圧的で不当なら交戦を辞さないと断言していましたので、カーター大統領がもしも不手際だったらあるいは第2のベトナム戦争がおこったかもしれませんでした。
     トリッホス将軍は1968年にクーデターで独裁政権を打倒しパナマの実権を握った後、国の建設に取り組み、特に貧しい下層階級の生活向上と初等教育に力をいれました。 1978年に米国との運河返還交渉を成立させた後は、国内はもちろん他のラテン諸国からも、民衆への理解と愛国心を持つ指導者として絶大的な尊敬を受けていましたが、1981年8月小型飛行機でパナマ山中のコクレシートにある別荘に向かう途中飛行機が墜落し亡くなりました。 トリホスの側近は爆弾がしかけらていたと証言していましたが、確認はされませんでした。 米国CIAが暗殺したという説もあれば、トリホスの部下で、後に実権を握ったノリエガ将軍が暗殺させたという意見もよく聞かれますが、決定的なものはなにもないのが現状です。
    <パナマ運河返還式典と2000年へのカウントダウン/ 英雄オマールのポスターを掲げる人たち>

    (3) 世界ウエルター級ボクシングチャンピオン、ロベルト・デュラン

       ボクシングの世界において「石の拳」と恐れられたそのハードパンチでデュランはKOの山を築き、ライト級の世界チャンピオンを13度防衛した後、「このクラスに俺の相手はいない」と、より重い階級に挑んでウエルター級統一世界選手権では、当時破竹の勢いでスター街道ばく進中だったシュガー・レイ・レナードを破り、パナマの大統領専用機で帰国し「デュランの日」という祭日が制定されました。奔放な性格もあって不振にあえいだ時期もありましたが、その後も階級を上げ続け、ついには4階級制覇を成し遂げ、パウンド・フォー・パウンド(全階級全時代を通じて一番強い)チャンピオンにも選ばれました。ラテンアメリカ唯一の4階級制覇達成、ライト級史上最多の12連続防衛等、17年半もの間、世界のトップで戦いつづけました。ボクシングファンによる20世紀のファイター・ベスト10では1位に選ばれています。 <関連情報と写真> <詳細コメント>

    (4) 米大リーグの最優秀選手マリアノ・リベラ

     1990年代野球界最強のチームを決めると言われた米大リーグのワールドシリーズはさる1999年10月27日ニューヨークヤンキーズが4連勝でブレーブスを破り、2年連続25度目の栄冠を手にしましたが、この試合の勝利を決めたのがパナマ人投手マリアノ・リベラです。彼はワールド・シリーズ最優秀選手の座を獲得し、11月のパナマ独立記念日に凱旋帰国し、独立記念日パレードの真っ最中にモスコッソ大統領から、パナマ人の誇りとして最高の勲章を授与されました。
     ヤンキース球団との契約で、1999年度は425万ドルの年棒でプレイし、2000年は年俸725万ドルで、2001年以降はヤンキースとの4年契約を結び、総額3999万ドル(約46億40000万円)で、平均年俸999万7500ドル(約11億6000万円)は抑え投手の大リーグ最高額となりました。リベラは昨季7勝4敗36セーブ。4年連続35セーブ以上を挙げ、ワールドシリーズ3連覇に貢献しました。これまでストッパーの最高給は、今季からの4年契約を結んだジャイアンツのロブ・ネン投手(31)の平均年俸812万5000ドル(約9億4000万円)でした。
    <ヤンキース所属守護神【マリアノ・リベラ】> <不沈艦 マリアノ リベラ> <連続写真コレクション NEW YORK YANKEES, Mariano Rivera>


3. パナマ人の憧れの職業:

 アメリカ大陸の金銀財宝を求めて集まってきた人間たちが築いた国だけに、パナマ人は稼ぎに関しては大変ゲンキンなところがあります。 報酬の大きな職業にたいしての関心は強く、高給を稼ぐパナマ人は仕事熱心で、プロ意識は非常に高い面が見られます。

    (1) スポーツ選手

 人口の少ないパナマ国内ではスポーツで高給を稼ぐことは不可能ですが、宗主国的感覚があるアメリカではパナマ人が実力さえあれば入り込めるチャンスは多く、これを目標としてスポーツ選手たちの士気が非常に高い面が見られます。

    (A) 野 球:報酬の高い米リーグにはパナマ人選手がたくさん活躍しています。
      打者 
        1) 米国テキサスレインジャーズの外野手で強力打者、ロベルト・ケリー
        2) 米国デトロイト・タイガースの内野手ホッセ・マシーアス
        3) 米国フロリダ・メルリンスのラファエル・メデイナ
        4) 米国サンデイエゴ・パードレスの外野手ルベン・リベラ
        5) 米国ホワイト・ソックスの外野手カルロス・リー(中国系)
        6) 米国オークランド・エースのオルメド・サエンス
        7) 米国モントレアールのセギノール
        8) 米国クレベランドの強打者エイナル・デイアス
      投手
        1) 米国ニューヨークヤンキースのマリアノ・リベラ
        2) 同チームのラミロ・メンドッサ
        3) 米国アトランテイス・シテイーのブルース・チェン(中国系)
    (B) サッカー: パナマの国を代表するナショナルチームには3人ものデリー・バルデスが活躍したことがあり、この3兄弟のうち2人は国際線で1級の稼ぎをしています。

    1) 日本や米国で引っ張りだこの得点王ホルヘ・デリー・バルデス
    アルゼンチンやチリ、ウルグアイなどのチームで活躍した後来日し、1993-94は東芝(JFL)、1995:セレッソ大阪(J)、1996:鳥栖フューチャーズ(JFL)、1997:コンサドーレ札幌(JFL)でゴールを量産していました。 その後アメリカやスペインを回り2001年は日本の大宮アルディージャと契約。<ホルヘ・デリー・バルデス><選手データ-> <デリー・バルデスのラストゴール>

    2) スペインのオビエドチームで活躍するフリオ・デリー・バルデス
    ホルヘとは双児の兄弟、以前はアルゼンチン、ウルグアイ、イタリア、フランス等でも活躍していた得点王です。

    日本のJリーグでも活躍したホルヘ・デリー・バルデス 

    (2) パナマ運河のパイロット
     一般企業に就職する際に家系やコネが一番重要な要素になりますが、パナマ運河で働くために必要なのは資格と実力なので、貧しい家庭の青年たちにとって運河で働くことが一番憧れの職場となっていますが、この中でも一番の花形はなんといっても運河パイロット(水先案内人)です。 一般に運河に従事する人間はパナマ社会の中では高給ですが、特にパイロットたちは年収15万ドルから25万ドルにもなり(1700万ー2800万円)、これはラテン・アメリカの中でも給料水準が高いと言われるパナマの国会議員や大臣の給料より上回っています。

    (3) 銀行家
     パナマでは資産家の決まった職業は銀行家ということです。そして銀行家から政治に入る者が多く、大統領にも銀行家がよく見られます。



    (4) 政治家
     家庭では一般に陰の薄い父親たちは、生き甲斐を、浮気に命を張ってみたり、また政治に賭けてみたりするようです。
    公務員にとっては自分の賭けた政党が勝てば職に着くことができ、負ければ野に落ちる (失業する)ことになるので、家族の生活がかかった重要な部分です。 浮気では成功すれば親父は男としてのプライドを慰めることができますが、経済的支出は大きいし、いつかはばれてしまい痛い目に会うのが普通です。
     その反面、もし自分の賭けた政党が勝てば、安定したサラリーと社会的な地位を掴むことになり、家族の尊敬を獲得することができるようです。


4. パナマ人にとって大切なもの:

    (1) 家族関係
     パナマ人にとって、家族はなににもまさる大切なものであり、特に子供は、男にとっても女にとってもかけがえのないものです。 男女の関係が、理性よりも感情的なところがあるために"もろく"離婚率も高い一方、親としての本能は強く、自分の子供がいじめられたりすると手負いの親熊のごとく非理性的に凶暴になります。 またパナマ人だんなの一般的な、女性(妻以外の)に対して弱いというか、理性を失うというか、節制をもたないというか、(これはパナマ人に限ったことではないか)一夫多妻願望の傾向に対して、女性は独占欲が強く、浮気には大変厳しい面があります。 浮気した夫を妻がピストルで打ち殺したとか(上流階級の場合)、愛人第1号が愛人第2号に多く通うだんなに怒りマチェーテ(蛮刀)で頭を叩き切ったとか(下層階級版)、タブロイド版新聞を読んでいると背筋がぞっとする記事をよく目にします。

    (2) 母親
     子供にとって母親の存在は絶対的なもので、この母子関係は死ぬまで変わることはありません。 そしてこれは黒人系の家庭で特に強いようです。 20、30代は当然ながら、50、60代でもおふくろ、おふくろと甘えた関係や、年老いた親に対する強い保護感情を見ることが多くあります。これは社会の安全性が低いパナマで発達する子供への親の本能といったものでしょう。

     私がパナマの田舎で作った小学校で、先生のいうことの聞かないということで生徒を家に帰したところ、母親が殴り込みのようなけんまくで学校に来て先生をおどしまくって帰っていかれたことがあります。 また私の職場の航海学校では、毎年新学期には伝統的な新入生の歓迎洗礼があり、上級生たちが新入生に裸踊りをやらせたりその他どんちゃん騒ぎをする風習があるそうですが、いつも親に泣きを入れる学生がいて、2、3日後に母親たちからの抗議(殴り込み)があったり、PTA会議で父兄(母親)が憤慨している模様がテレビに出たりしています。 もちろんこの程度の親は日本でもいますが、パナマの場合は「うちの子供に手を出したらただじゃすまないよ」と脅されたりします。 子供がいじめにでもあったりするとまず、腕力へは腕力で対抗するために身内か近所の逞しいのをつれて仕返しにあらわれます。 相手の親も強い腕力のある人間を用意していたりすると今度は、政治家の親戚か知り合いを引っ張り出したり、マスコミを引っ張ってきたりして徹底的に戦う風習があるので、本当にただではすみません。(ヤクザなみ?) そのため子供の母親に対する信頼は強く、そして一生子供は母親を尊敬しますし、むろん子供の自殺などは聞いたことがありません。 親父の出るまくがないくらいパナマ人の母親は強いようです。(参考→ラテンアメリカ比較文化考察:「家族の絆」)

    (3) 家系・家柄
     パナマ人社会では出世や、職を得る上で大事なことは名字(家系)しだいと言われます。 そのために色々な血統がまざった人間でもそれぞれの系統にだれか有名人か名士がいるとすぐそれを出してきます。 いい家系の出であれば、学歴や実績に関係なくいい職につくことができ、あとは高校や大学時代の成績がよければ経験がなくても高いポストをもらえる傾向があります。 3年前にパナマの大蔵大臣は20代の若者が家系がえらいところというだけで抜擢され、天然資源庁(現環境庁)の長官にも28才の日系ハーフの女性が抜擢されていますが、彼女の父親の家系は大統領も出したというパナマでは由緒ある家柄で、母親が日本人でした。 特に英語や日本語などの外国語にすぐれている面もかわれたということでした。 

    (4) 学歴と資格
      家柄を頼れないものにとっては学歴と資格が最大の武器です。 公務員をしている人間が子供が手を離れたのを機会に夜学の大学にいっているケースが多く、特に女性にこの向学指向が強いようです。 公務員の場合は高卒で公務員になると250ドルくらいからスタートし、いくらキャリアを積んでも大卒レベルに追い付くのは不可能です。せいぜい500-600ドルどまりですが、大卒は500ドル前後からスタートし、定年には1100ドル位にはなります。 さらに大学院卒(修士)になると800ドル位からスタートし、1500ドル位まで行きます。 学歴の差は大きいですが、パナマでは(ラテン・アメリカでは一般)何歳になっても学歴をグレードアップすることができ、40代になってから夜学で大学を卒業し、それまで平社員だったのがいきなり部長になったりするケースも見かけました。
    以前の職場のパナマ人職員(おやじグループとオバタリアングループ)たちは退社してからはみんなで大学に直行していましたが、職場でも少し暇になると大学のノートを出して勉強したり、パソコンで宿題をしたりしている風景がいたるところで見られました。 ちなみに「パナマ美人」で紹介した、私の今の職場の秘書も高校生の娘と小学生の息子がいますが、自分も大学に通っています。
    (1999年11月現在)



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